EM活用事例

トマト栽培における線虫対策

チリ
国名:
チリ
カテゴリー:
農業
タグ:
循環性 , 低コスト , 堆肥
トマト栽培における線虫対策

状況と問題

チリではトマトの生産コストが年々上昇しています。広範囲にわたって使用する殺虫剤や化学薬品の購入に費用がかかるためです。トマト市場は供給を超える需要があるというのが現状です。

過剰なコストの原因である農薬や化学肥料は、総コストの50%を占めています。トマトの病気の中でも代表的な線虫やフザリウムへの対策として、これらの出費が必須でした。

チリのEM販売店は、トマト農家La Quebrada del Aji(ラ ケブラーダ デル アヒ)社にEMを紹介し、トマトの病気対策への使用を提案しました。

​La Quebrada del Aji社は、トマト、アボカド、サクランボ、柑橘類の栽培を30年以上続けています。中でもトマトはチリではとても人気のある『ルシアナ種』という品種を扱っています。ルシアナ種は色形や食感が良く、寒い時期でもよく育つという優れた品種です。この農家では、なるべく農薬を減らして栽培を行い、農産物は国内で消費されています。

担当者のルベン マルコス ボルケス氏は、このトマト農家で30年以上生産に携わっており、年々難しくなる線虫やフザリウム、疫病菌(エキビョウキン)などの病気への対策に悩んでいました。農薬を使っても、菌が耐性を持ってしまい、同じ薬が効かなくなるからです。 
これらの病原菌に侵されると、葉緑素不足となってトマト全体の色が黄色や白になったり、根に根粒を生成するようになり、ひいては土地全体がやせて、植物が腐るようになってしまうのです。
 

EM使用法

2016年6月から、収穫のシーズンである2017年1月まで、EMを試験的に導入しました。
試験は1ヘクタールのビニールハウスで行われ、区画の半分をEM施用区、残りの半分を慣行農法区としました。

試験設定は以下の順序で行いました。
1. 土壌準備
このハウスでは、以前飼料用カブの栽培をしており、その土にさらに有機物を加えて耕しました。(飼料用カブもEMを使用して栽培されていました。)
土壌準備は作付けの1ヶ月前に行い、その間EM活性液を土壌に施用しました。

2. 試験結果
 
  • EM施用区のトマトは慣行農法区に比べて、サイズも大きく、重く育った。
  • 慣行農法区のトマトは線虫や根粒菌に侵され、サイズが小さくなった。
  • EM施用区の根は白く、健康で多量の根毛の発生が見られた。(写真2、3)
  • EM施用区の線虫発生率は0%ではなかったが、トマトの苗を壊滅させることはなかった。作付け前の苗木をEMを浸水させておいたことで、線虫から守ることができたと思われる。
  • EM施用区のトマトの方が慣行農法のトマトより収穫率が上がり、味も美味しくなったので、多くのバイヤーからトマトの買い付けを希望された。
  • EMの使用により、線虫対策に使っていた高額な農薬代金がカットされた。担当者によると化学薬品を使った慣行農法に比べて8割ものコスト削減に繋がった。
  • トリコデルマやその他有用な微生物の増殖と、病原菌の減少が認められた。(グラフ1-2)
 
 
(写真1) 
左:EM栽培のトマト 
右:慣行農法のトマト
(写真1)
左:EM栽培のトマト 
右:慣行農法のトマト
(写真2) 
慣行農法区画の根。病原菌に侵され根粒が見られる
(写真2)
慣行農法区画の根。病原菌に侵され根粒が見られる
(写真3) 
EM区の根。太くて白く、健康。
(写真3)
EM区の根。太くて白く、健康。
(写真4) 
慣行農法区画の葉。褪せた色の葉が見られる
(写真4)
慣行農法区画の葉。褪せた色の葉が見られる
(写真5) 
EM区画の葉。青々と健康な状態
(写真5)
EM区画の葉。青々と健康な状態
(写真6) 
担当者のルベン氏。この試験結果に驚いている。
(写真6)
担当者のルベン氏。この試験結果に驚いている。



(この記事は2017年10月の情報に基づくものです)

 
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