水産養殖では限られた区域の中で特定の種の魚介類を養殖するため、生育環境管理が非常に重要な条件である。しかし成長促進のため過剰な給餌が行われると、余剰な餌や排泄物が汚泥となり、水質を悪化させてしまうことが通例となっている。水質悪化による病気を抑えるため、抗生物質や化学薬品が投入され、環境に悪影響を与えたり、生育する魚介類の健康を損ない、食品としての安全性が問題となっています。
水産分野でEMを活用するメリット
従来の養殖方法による悪循環を打破するためにEM技術が活用され始め、中国での蟹養殖、タイ、ベトナム、エクアドルなどでのエビ養殖で大きな効果を発揮してきました。EM活用により水中の微生物が活性化し、生態系が多様化し、自然や水環境の自浄作用が高まり、水質悪化を防ぐことができます。また、水質向上とともに、養殖池にはプランクトンの種類が豊富になり(生物多様性が高まり)養殖に好ましい状態が維持しやすくなります。
養殖池の水質(悪臭)改善、汚泥の腐敗防止
EMの施用により、水質汚染源である飼料の余剰物とそれらの堆積汚泥の発酵を促進します。また、EMやEMに含まれる代謝物質により水中の微生物が活性化し、水系の生態系が蘇り、自浄作用が高まります。その結果養殖池の水質が改善し、汚泥余剰が発生しにくい環境になることから、汚泥腐敗の防止に繋がります。
病気の予防(EMS、ホワイトスポット病)、抗生剤や消毒液の投薬量の軽減
EMの施用により生態系が多様化し、自浄作用が高まると、特定の病原菌やウイルスの増殖が抑制され、抗生剤や消毒液の投薬量を軽減することが可能になります。エビの養殖で問題となっているEMSやホワイトスポット病に対しても、感染せずに成功している事例が出てきております。
魚介類のストレスを減少
魚介類のストレスは水質に大きく作用され、EMの施用により水質が保たれることで、魚介類のストレスが軽減されます。その結果免疫が保たれ病気の予防につながります。
生産性の向上(飼料要求率や致死率などに関して)
EMボカシなどの発酵された飼料を与えていると消化吸収がよくなり、成長が早く、飼料要求率(FCR)が低下します。またEMの施用により水質が保たれた環境では、病気になりにくく、致死率の低下に繋がります。
品質の向上
EMの施用により水質が保たれた環境ではし、生産物の品質が向上し、臭みがなく、甘味や風味が良くなる特徴があります。また抗生剤や消毒液の使用量も軽減することが可能で、生産者、消費者にとって安全な生産物を生産する手助けをします
Additional benefits
排水(環境)問題解消:養殖池からの排水が、自然環境を汚さない
EMの施用により、水質が保たれているため、排水が自然環境を汚しません。また抗生剤や消毒剤も軽減することが可能で、環境負荷を低減します。(中国での上海蟹養殖では、下流域の水質も安定しております)
なおEM技術は規模の大小に関係なく、様々な飼育方法、飼育環境に併用することができます。それは前述のとおり、水環境の微生物の多様化を目的で利用するからです。