インド・マハラシュトラ州では、EM技術を活用した排水処理の革新が進んでいます。バンダップ排水処理場では、微生物の力で水質を改善し、地域の生物多様性を守るプロジェクトが成果を上げています。
インドは世界でも最も急成長を遂げている経済大国の一つですが、「排水処理」という大きな課題に直面しています。西インドのマハラシュトラ州は、多様な文化遺産とムンバイのような活気ある都市、そして豊かな歴史を持つ地域として知られていますが、この州では1日あたり約91億700万リットルもの下水が排出されていると推定されています。しかしその多くが適切に処理されておらず、水質汚染の原因となっています。
こうした問題に対応するため、ムンバイ大都市圏自治体が運営するバンダップ排水処理施設は、現在、下水処理場の改修が進められています。ただし、この施設の建設には約4年の期間を要する予定です。
バンダップ川は、バンダップ鳥類保護区としてもよく知られており、毎年冬にはフラミンゴなどの数千羽の渡り鳥が訪れます。建設の間にも毎年、数千羽のフラミンゴがバンダップへ渡ってくるため、その生息環境の保護も重要な課題となっていました。
こうした問題にできるだけ早く対処するため、このプロジェクトにEM技術が選ばれました。
バンダップ排水処理施設は、1日あたり2億1600万リットルの処理能力を有する大規模施設です。4つの処理池で構成されており、各処理池のサイズは長さ231メートル、幅157メートル、深さ4メートルです。
2023年1月3日以降、弊社パートナーのMaple Orgtech India Limited社は4つの処理池のうち2つにおいて、インドのEM製品(Maple EM・1 EFFLUCLEAN plus(EMEp)*(1))を使用した廃水処理を実施しています。
EM処理前は、水は悪臭を放ち、貯留地の底にある浄化槽のヘドロからは、大量の浮遊物や有害なガスが放出されている状況でした。
EM適用前
EMの適用
Maple EM・1 EFFLUCLEAN plus
3 か月後、処理前の水と処理後の水の間に目に見える違いが見られ、当局が指定したパラメータも改善されました。EM 適用 70 日目以降、BOD (生物化学的酸素要求量)レベルは 10 mg/L 未満、COD(化学的酸素要求量) は 50 mg/L 未満、TSS(浮遊物質量) は 20 mg/L 未満となり、インド政府の中央公害管理委員会および国家緑の法廷のすべての基準を満たしています。
排水のBOD(生物化学的酸素要求量)数値と処理日数
排水のCOD(化学的酸素要求量)数値と処理日数
排水のTSS(浮遊物質量)数値と処理日数
Maple Orgtech India Limitedは次のように述べています:
『今後の展望として、私たちはバイオレメディエーション技術の開発と発展に引き続き注力していきます。継続的な研究、革新、そして国際協力を通じて、次世代のためにより清潔で緑豊かな未来を築くべく、バイオレメディエーションの力をさらに活用していきたいと考えています』
※(1)『Maple EM・1 EFFLUCLEAN plus』は、インド国内で販売されています。
2024年6月19日 更新