廃棄物問題は世界中で深刻化しています。人口の増加や消費の拡大に伴い、廃棄物の量が増え、その適切な処理と管理が大きな課題となっています。不適切に処理された廃棄物は、悪臭を発生させるだけでなく、有害物質や有害菌が広がり、生活環境や公衆衛生を悪化させる危険性があります。このため、廃棄物の管理や再利用を適切に行うことが、持続可能な社会の実現に向けて重要なポイントとなります。
EMは、有用な微生物の力で有機物や有害物質を分解することができ、悪臭の除去や衛生的な環境の維持に役立ちます。また、農業や畜産で出る廃棄物を再利用可能な資源に変え、リサイクルを促進することができます。コストが低く、人や環境に優しいEM資材は、多くの国で活用され、廃棄物管理において持続可能で有効な技術として広がっています。
家庭から出る水分を含む生ごみは、腐敗しやすく、悪臭の原因となります。この悪臭は、ハエやゴキブリなどの害虫を引き寄せ、衛生面や健康面での問題を引き起こします。EMを使うことで、有用菌であるEMが腐敗菌を抑え、発酵菌が優勢な環境に改善されます。また、EMはアンモニアなどの臭い成分を分解し、悪臭を抑制します。この効果により、ごみ処理場(焼却場、最終処分場、埋立地など)での臭い問題が効率的に解決され、EM活性液やEMボカシを使った廃棄物処理が世界中で採用されています。
水分の多い生ごみをそのまま燃えるごみとして出すと、焼却炉の温度が下がり、燃焼効率が悪くなります。このため、燃焼温度を上げるためにさらに多くの燃料が必要となり、CO2の排出量が増え、環境への負荷や経費が増加します。
家庭で出る生ごみや食品廃棄物は、EMを使って発酵を促進させることで肥料化できます。この発酵プロセスで病原菌や悪臭が抑えられ、栄養価の高い安全な堆肥として再利用できます。実際に、家庭から出る生ごみをEMで処理する取り組みが多くの自治体で行われています。EMボカシを使って生ごみを肥料にすることで、ごみの量を減らし、環境への負担や処理コストを削減できます。また、この方法は土に埋めるよりも効率的に発酵を進め、悪臭を防ぎ、浸出液も肥料として有効活用できます。
農業や畜産で出る有機廃棄物もEMを使って堆肥化できます。収穫後の農業残渣や刈草は、EMで発酵させることで良質な堆肥や家畜の飼料として再利用ができます。特にEMで発酵処理した青草のサイレージは、タンパク質含有量が高く、消化しやすい良質な飼料になります。
畜産現場で発生する大量の糞尿は、悪臭や環境汚染の原因となりますが、EMを使って堆肥にすることで、温室効果ガスの排出や化学肥料の使用を減らし、持続可能な農業生産に貢献できます。EMを活用することで、有機物の分解や発酵が促進され、堆肥の品質が向上し、土壌の健康も改善されることが研究で実証されています。
EMは、農業や畜産から出る廃棄物を地域の有機資源として有効に活用し、環境に優しい持続可能な農業や畜産を実現するための重要なツールとなります。