近年、環境問題への関心が高まる中で、エネルギーや資源を多く消費する建築分野では、持続可能な技術への需要が増しています。そんな中、環境に優しい微生物の特性を活用したEM技術が注目されています。EMは、有害物質の分解やカビ・病原菌の対策だけでなく、コンクリートの強化や塗料の機能向上にも効果を発揮し、活用範囲が広がっています。例えば、マレーシアではEM技術を導入した「エコタウン」が誕生し、建築、清掃、植栽、ごみ処理などに活用されています。EM技術は、安価で取り扱いが簡単であり、持続可能な建築を支える技術として広がりを見せています。
コンクリートは、道路やトンネル、ダム、マンションなど多くの建造物で使用されていますが、時間が経つと劣化し、ひび割れや強度の低下が進行します。一般的にこのような構造物の耐用年数は5,60年と言われていて、修繕やメンテナンスに多くのコストがかかります。コンクリートの耐久性や強度を向上させることは、修繕費用の削減だけでなく、建物の寿命を延ばし、環境負荷の低減にもつながります。
EMをコンクリートに混ぜると、その強度や耐久性が向上することが確認されています。EMを加えることで、劣化の原因となるコンクリート内の微細な空隙が減り、より緻密で強固な構造になります。これにより、圧縮強度や曲げ強さが向上し、鉄筋の腐食やコンクリートの中性化を防ぐ効果も期待できます。また、自己修復や抗菌特性も持つため、より長持ちする建物を建設することが可能です。実際にEMを使用したコンクリートの試験では、一般的なコンクリートの標準耐久基準を大きく上回る強度が記録されています。
家具や建材に含まれるホルムアルデヒドやベンゼンなどの化学物質は、シックハウス症候群の原因となり、健康に悪影響を与えることがあります。EMは、ホルムアルデヒドを除去し、無害化する能力があるため、シックハウス対策に役立ちます。EMを噴霧したり、塗料や接着剤にEMを添加することで、これらの有害物質を抑制できます。また、EMを活用した建材や清掃により、カビや病原菌の発生を防ぎ、より健康的な住環境を実現することが可能です。