
サンシャインファームの循環型農業
沖縄県中頭郡北中城村に位置するサンシャインファームは、最新のEM技術を実践しながら循環型農業を実践する約1,500坪の農場です。地域やホテルへ、旬の新鮮な有機野菜や高品質な平飼い卵を供給しています。
概要
沖縄県中頭郡北中城村に位置する「サンシャインファーム」は、約1,500坪の農地で最先端のEM(有用微生物群)技術を駆使し、持続可能な循環型農業を実践している農場です。かつて農業に不向きとされた放棄地を、EMの力でよみがえらせ、今では地域やホテルに新鮮な有機野菜や平飼い卵「まなたまご」を供給しています。
この農場は、EM技術を開発・普及するEM研究機構が、自らの技術を実証・発信する場として設立されました。もともとは小規模な畑で始まった「農場プロジェクト」が発展し、子会社として本格的な農園経営へと展開されたものです。
EM技術の様々な活用:土づくりから畜産まで
【土壌改良:沖縄特有の土壌と気象条件への挑戦と不耕起栽培】
この地に広がる「ジャーガル」土壌は、弱アルカリ性で粘土質が強く排水性が悪いため、従来は農業に適さないとされてきました。さらに、峡谷に位置するこの農場は過剰な地下水という課題も抱えています。
加えて沖縄特有の気候条件も大きな問題をもたらします。
年間を通した強い日差しは作物にストレスを与え、温暖な環境では微生物が一年中活発に活動するため、トン単位の有機物が1年で分解されるほど肥料分の保持が困難です。
また冬でも休眠しない雑草の管理も大きな負担となっています。
これらの課題に対し、サンシャインファームではEM技術を中心とした総合的な方策で対応しています。
- 保肥性が高く水捌けの良い団粒構造の土壌作り
- 高畝栽培と井戸の設置による水管理
- チップマルチングと不耕起栽培、さらに塩の活用による雑草抑制
- 定期的なEM散布によりストレスに強い作物を育成
- 鶏糞や食物残渣を活用する循環型農業により、継続的に土壌に栄養を供給
これらの工夫によって、本来は農業に適さないとされていた土地でも持続可能な作物生産を実現しており、EMの活用により様々な条件下でも持続可能な農業が可能であることを実証しています。
【養鶏部門】
平飼いの鶏舎では約1400羽の鶏が飼育されており、鶏舎環境、飲み水、飼料などあらゆる場面でEMを活用し、健康でストレスの少ない環境で飼育しています。
これまではホテルから出た残飯を発酵飼料にして与え、発生した発酵鶏糞を畑に活用する循環型農業として活用していましたが、さらにその仕組みを発展させて、「
北中城村EMユニバーサルビレッジのビオサイクルセンター」で作られた消化液などを活用する新たな連携の試みも進められています。
飼料と飲用水への活用
通常の飼料に加え、米ぬか・大豆粕・魚粉をEMで発酵させた「EMボカシⅡ型」を配合。さらに収穫残渣や敷地内の雑草も補助的な餌として与えています。
また、EM活性液を100~200倍に希釈して、鶏の飲用水として供給しています。
鶏舎環境への活用
定期的に鶏舎にEMを噴霧し環境を整えています。そのため鶏舎内はアンモニアなどの臭いが抑制され、鶏や管理者にとってストレスのない環境になっています。
卵の生産
ストレスの少ない環境で健康的に育てられた鶏の産卵率は75%から80%と高い数値で安定しています。
生産された卵は回収後、洗卵機で洗浄後、スタッフが手作業で丁寧にチェックした上でパック詰され出荷されます。
鶏糞堆肥
鶏はEM発酵飼料を与えられているため腸内環境が整えられており、消化が良く、糞尿はアンモニア臭がほとんどありません。
そのため植物の生育に必要なリンやカリウムなどの栄養素が豊富で高品質な鶏糞堆肥を得ることができます。
【畑作部門】
サンシャインファームの畑では、EM技術を活用して年間約20品目の野菜を生産し、「暮らしの発酵ライフスタイルリゾート」のほか、近隣のスーパーなどへも出荷しています。
夏はへちま、オクラ、キュウリ、冬はトマトやインゲンなどを主に栽培。また、ホテルのサラダコーナーで使用するレタスや島野菜などは、年間を通して栽培できる体制を整えています。
海水EM活性液の活用
日々EM活性液を準備し、スプリンクラーや灌水チューブを通じて畑全体に散布しています。
海水、または塩とにがりを活用し、ミネラル豊富な活性液を使用しています。
これにより、土壌や葉面の微生物層を豊かにし、植物の免疫力を高め、病害虫が発生しにくい健全な生育環境を創り出します。
種子処理
苗作りの際、種子を浸水させる水にEMを少量添加し、発芽促進や初期生育の向上を図っています。
堆肥の施用
鶏糞や発酵堆肥を畑に施用し、土壌改良と肥料の供給を行っています。(※現在、ホテルの食品残渣の循環はユニバーサルビレッジのビオサイクルセンターと連携した新たな循環型農業への発展を試みています。)
農場朝市・アタイグヮーデン
サンシャインファームでは、一般の方にも広くEM技術を活用した農業を知っていただくため、農場見学や、農業体験を積極的に行っています。
農場朝市では平飼い卵や自身で収穫した野菜を買うことができ、多くの参加者にも喜ばれています。
アタイグヮーデンは、”家庭菜園初心者でも気軽に農のある暮らしを体験できる場”として、田植えや稲刈り、収穫したもち米でのお餅つき、草編み体験など、作物を育てることにとどまらず、季節や暮らしを感じられる体験も充実しています。子どもから大人までもが畑を通じて人と地域がつながり、循環する暮らしを育む場となっています。
2015年5月15日 更新